現在は多くの工場が乱立する元三川坑エリア、有明海沿岸道路に分断され発電所や当時の鉱山施設やトロッコ軌道は撤去されてしまい東端に住宅跡などを残すばかり。この様変わりした場所に殆ど知られていない施設棟がありました、報道取材で幸運にも内部見学できたその時の様子を少しだけご紹介します。
福岡県│坑外職場棟
調査:2010年11月
公開:2012年10月08日
名称:三池炭鉱三川坑坑外職場棟
状態:2016年~2017年にかけて一部解体
旧サイトで公開していたレポート内容を2023年現在の調査内容に統合して再エントリーしました。また古くなった情報などは精査して削除しております。
FBSの取材で万田炭鉱館を撮影した際、荒尾市教育委員会社会教育課文化係の方からお聞きした三川坑の坑外職場棟をご紹介します。この坑外職場棟は当時、既に解体が決定していてその解体工事に関する区画調査時に同行した内容となります。
一般には公開されなかったこの坑外職場棟を少しだけご覧頂きたいと思います。
歴史に残らなかった三川坑
国内の炭鉱において三川坑は戦後最悪の炭鉱事故と呼ばれた三井三池三川炭鉱炭塵爆発の現場としてよく知られています、死者458人、一酸化炭素中毒患者839人という数字は現在もなお労災事故の事故例として頻繁に挙げられます。
三井三池三川炭鉱炭塵爆発 - ウィキペディア
https://archive.is/1Rior
https://archive.is/1Rior
行政広報用と番組制作用の撮影を終えたところで現在解体工事が進められている区域にまだ残っている建造物があると教えていただきました。同行された職員も詳細はわからないようでしたが時間に余裕があったこともあり、お邪魔することにしました。
工事現場の方に挨拶をすませて足を踏み入れるとそこは荒野かと思うほどの広さ、そして奥の方に建造物が一棟残されていました。
坑外職場棟。
職場棟は当時、機械メンテナンスなどの整備が行われていた場所で万田坑にも類似する建造物がのこされています。といっても、後年は予備部品などの仮置き場としても使用されていて職場棟とはなばかりの倉庫だったようです。
アース製薬
長い間このエリアは工業開発地域の候補地として放置されており、現地には小さな事務所と坑外職場棟が寂しく残されていました。
三川坑稼働当時の1966年、意外にも職場棟は存在しておらず、整備作業は各所で分担して行われていました。
全盛期を過ぎた1974年、この時代にもまだ効率化が図られていません。北側にシックナーが現れます。
三川坑の歴史から考慮すれば既に晩年といえる1982年、航空写真にやっと坑外職場棟が姿を見せました。
それから間もなく10年と少々、1997年に閉山となりました。
閉山後、その殆どの施設は解体されましたが倉庫として使用されていたことからこの職場棟は残されていたそうです。2008年の段階ではまだ周囲の工業地帯開発は進んでいません、有明海沿岸道路も敷設されていませんね。
2016年、周囲の開発も進んで該当エリアから全ての建造物が解体撤去されました。
大規模な産業事故として有名ではありましたがその歴史の最後の番人は人々に終ぞ知られることなく姿を消したのでした。
公開されることのなかった職場棟の内部
取材当時の2010年、内部は既に廃材や故障した鉱山関連の機械類が幾ばくか残るだけの状態。写真では判断しずらいですが内部に運搬用トロッコの起動跡が見てとれます、三川坑の保存資料に専用軌道(B形電気機関車)がありますが運搬用トロッコとは別物だとお聞きしました。
このレポートを公開した2012年、エントリーして直ぐに地元の旅行代理店が内部の見学ツアーを企画しましたがどうやら立入許可は下りなかったようで。これが最後の一般公開の機会だったのですが残念です。
今でも三川坑を感じることは可能です、三川坑跡には第二斜坑や地下通路・第二巻揚機室などが一般公開されています。また2004年に一度財政難で運営が危ぶまれていた三井港倶楽部、地元有志による署名活動と経済的有志によって継続運営されています。
三井の歴史にまつわる施設 - 三井港倶楽部
現在はこのような外観、すっかり様変わりしてしまいました。
参考・協力
大牟田市役所
企画総務部世界遺産文化財室
帝京大学福岡キャンパス図書館
大牟田市立図書館
大牟田市石炭産業科学館
万田炭鉱館
レポートの場所
注意点
該当区域は管理されており、無断での進入する事は法律で禁止されています。また登山物件においては事前にルートの選定、充分な予備知識と装備で挑んでおります。熟練者が同行しない突発的な計画に基づく行動は控えて頂く様、宜しくお願い致します。
注意点
該当区域は管理されており、無断での進入する事は法律で禁止されています。また登山物件においては事前にルートの選定、充分な予備知識と装備で挑んでおります。熟練者が同行しない突発的な計画に基づく行動は控えて頂く様、宜しくお願い致します。
スゴログの装備とその使用方法など
https://www.sugolog.jp/p/blog-page.html
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