2022-10-01T11:14:52Z #015 石舟沢鍾乳洞

#015 石舟沢鍾乳洞

2010年から継続的に続けてきた奥秩父の石舟沢鍾乳洞探索、東日本大震災時の小規模崩落や無計画伐採と時期を同じくした記録的豪雪や連続台風の為の渓谷内大崩落。それらの諸問題と共に、滑落事故により入林禁止となった石舟沢と美しさに定評のあった当事の石舟沢鍾乳洞内部をご紹介します。

スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞
埼玉県│石舟沢鍾乳洞

調査:2010年05月
再訪:2011年09月 / 2013年05月 / 2015年10月 / 2017年05月 / 2018年05月
公開:2010年07月10日
名称:正式名称→石舟沢鍾乳洞
状態:秩父農林振興センターが管理(入洞禁止)

埼玉県を代表する大規模なケイブシステム

奥秩父の石舟沢鍾乳洞、その名を聞いたのは随分と昔。関東では丁度房総半島のT秘境(高宕渓谷)探しで沢屋さんや林道ライダーさんが盛り上がっている頃、奥秩父に素晴らしい鍾乳洞が在ると教えられていつかは行こうと決めていました。

当時、比較的単独行が多かった私ですが流石に鍾乳洞は複数人で挑まないと不測の事態に対応出来ないと考え、同行人を探していた記憶があります。残念ながら機会に恵まれず、その想いは2010年まで叶わなかったのですが万全の準備と装備で挑んだ初回。

何と登山靴を家の玄関に忘れてくると言う痛恨の失態、それでも諦めきれずに洞口まで赴くも前々日の豪雨で洞口付近が埋没していると言う不運に見舞われました。

翌年、改めてメンバーを集めて初入洞。ここから私達スゴログが惚れ込んだ石舟沢鍾乳洞の探索が本格的に開始されました、当事は埼玉県警(埼玉県警山岳救助隊)に入山届け(入山計画書)を提出した上で秩父農林振興センターに入洞許可を申請して石舟沢鍾乳洞へアプローチするのが一般的な方法でした。

残念ながら現在は一般入洞は禁止()に、何故そうなってしまったのか等もレポート内で説明していきたいと思います。美しく、そして自然を身体いっぱいに感じる事が出来た石舟沢と複雑に入り組んだ鍾乳洞を併せてご紹介したいと思います。

注意点
埼玉県警山岳救助隊の指導により、管轄する秩父農林振興センターが2012年に閉鎖しましたがこれは秩父農林振興センターによる横暴で不当な閉鎖ではないかと現在でも議論されています。



スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

旧県道210号線は1995年まで使用されていましたが交通量の増加に伴い、バイパス化された持桶トンネルが開通した為に廃道化。その旧道上に残るのがこの長栄橋です、特徴的なラーメン構造で埼玉県内でも珍しい。

この忘れ去られた橋の眼前に今回の石舟沢鍾乳洞へのアプローチルートとなる登山道があります、まずはこの場所で最終的な所持品確認などを行いましょうか。

スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

写真は初回アタックの2010年、この当事はまだ厳しい規制は無くて登山道としての整備も若干ながらされていました。事実、途中の草木がシッカリと登山道に沿う様に刈られていたので歩き易かった記憶があります。

解り辛いですが写真左側から九十九折れで登ります、勾配がキツくて最初の最初でバテてしまうのに要注意です。

注意点
秩父農林振興センターが管理しており、少なくとも2010年当事は石舟沢二俣(佐俣と峠沢)辺りまでは人が歩ける様に定期管理がされていました。峠沢はこの場所以降で歩き辛く、佐俣の方は林業でも使用されていたのか登山道と言うより作業道としての体を成していました。

スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

2012年以降は一般入山が禁止されてしまったので手前にロープが張られていましたが2018年現在、そのロープが無くなっています。

その所為か、この場所が釣りのポイントとして有名でもあるので登山客は滅多に見掛けませんが釣人は頻繁に往来しています。丁度のこの急な勾配を上りきった所に沢へ降りる獣道があるのでそのルートを利用している様です、私達は旧作業道(登山道)へ向かいます。

スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

スタート直後、非常に歩き易い道が暫く続きます。



スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

写真でも解る通り、イエローテープが張られています。この場所こそ後に規制される発端となる滑落事故の現場でもあります。

東西トレック - 秩父市埼玉県の県有林内鍾乳洞立入禁止
http://bit.ly/2zVUfwu

上記リンクサイトの冒頭を引用すると



秩父農林振興センターは秩父市、中津川周辺の県有林内の鍾乳洞への入洞を全面的に禁止したそうです。対象洞穴には石舟沢鍾乳洞、仏石山鍾乳洞、藤十郎沢鍾乳洞などが含まれるそうです。5月に石舟沢鍾乳洞ツアーの客が洞窟のなかではなく帰りに歩道で滑落し、もし鍾乳洞内での事故が発生した場合、救助は極めて困難だったことから、山岳救助隊が鍾乳洞内での事故には対処できないと判断し、警察が秩父農林振興センターに対して県有林内の鍾乳洞への人の立ち入り禁止を指導したそうです。



と言う訳です、更に詳細と考察を知りたい場合はリンク先のサイトをお読み下さい。兎に角、このケイビングはおろか登山自体間々ならない御婦人(滑落者)の所為で石舟沢鍾乳洞はトバッチリを受けて閉鎖される事に、更にはこの登山道の使用自体を規制したのです。

それからと言うもの、警察への届けはすんなり行くものの行政(埼玉森林管理事務所)への許可申請は中々と降りないアプローチとは関係ない所で難攻不落のケイビングスポットとなってしまったのです。

かつてはケイビング初心者のトレーニングの場として非常に便利だったこの鍾乳洞、現在は易々と入る事は叶わなくなりました。

スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

現存する作業道の崩落も近い

2010年当事でも既に崖に設置された木道はこの状態、経年劣化は当然ですが斜面から土砂が流れ込む所為で足元の正確な踏み場が解りません。しかも抉られた土砂流出の為に斜面が抉られていき、部分的に崩落しています。

この木道から沢までは約20メートルの高低差、踏み外せば命の保証はありません。

スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

注意点
ロールオーバーで画像を切り替えて下さい(PC閲覧時のみ)

ほぼ同じ場所で同じアングルでの撮影、新緑の写真は2010年で紅葉の写真は2015年です。残念ながらこの木道は大崩落に巻き込まれて消失してしまいました。

そうなのです、現在は規制だけでなくてこの登山ルートが使えない理由がもう一つあるのです。

それは行政の無計画で無配慮な森林伐採、どの様な経緯が有ったかは詳細を知る事は出来ませんでしたが少なくとも自然環境に配慮した伐採でなかった事は明白です。その証拠に大規模伐採以降、樹木を失った全長約2キロもの斜面で段階的な土砂崩れが発生します、それは地中に水分を貯める事ができなくなった(伐採の為)で雨が降る度に小さな崩落を起こした事が原因です。

そしてこの美しい渓谷を大崩落させて破壊した2014年の記録的豪雪は記憶に新しいでしょう、この奥秩父にも甚大な被害を出した関東では本当に稀な大雪が石舟沢を二度と戻らない壊滅的なダメージとなったのです。

ウィキペディア - 平成26年豪雪
http://bit.ly/2QvVZBU

更に追い討ちをかける様に同年08月、連続台風が決定的な氾濫を引き起こしてしまうのです。

ウィキペディア - 平成26年08月豪雨
http://bit.ly/2C1xqsX

それまでの石舟沢と2014年以降の石舟沢、それは全くの別物でした。鍾乳洞だけでなく、沢自体が美しい事で知られていたこの沢。石灰岩の滑らかな涸沢が楽しめましたが今となっては見る影もなく、倒木と抉られた斜面、そして土砂が堆積した悲惨な景観に。

勿論全てが伐採の所為とは言えません、その位記録的な異常気象が2014年は続いたのです。ただこれまでこの沢が埋没したり大規模な反乱を越した事はありませんでした、長い年月維持してきた自然のサイクルを狂わせたのは他でもない人の手である事は絶対的な状況証拠となりえるでしょう。

スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

トウタロウ沢との出会い、そこから進路を石舟沢の本流へ向けると直ぐに目にする朽ちた木道。写真は2010年のものですが2018年現在、辛うじてですがその姿は残されています。

実はこれまでに説明した通りこの沢は壊滅的な自然破壊が原因で斜面は崩れ落ち、この場所まで木道を歩けば20分程でしたが今では1時間以上を必要とします。

崩落した斜面を避ける為に途中でラペリング、若しくは斜面を沢まで降下倍以上の時間を要さなければ到達できないのです。

ゴーロ、ガレ、ナメと沢歩きや登山経験の無い方には非常に危険で困難な道のりとなりました、ソロでの山行はオススメできません。

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スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

この写真に見える突き出た岩場(中央奥)、ここも降下ポイントの一つです。複合的に(途中フィクスし直すかプーリーなどを使用)ロープを使用しますがフリクションノットを必要としない簡易なラペリングで沢に到達可能です。


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注意点
ロープでの降下及び自力登攀は専門知識の習得と練習を必ず行って下さい
フリーで降下出来ても登り返しが困難な場所が多数あります
この地域の岩場は石灰岩で脆く、オープンで剥がれる事を念頭に置いて下さい。

スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

大崩落を発生させた石舟沢

これが現在の石船沢です、両岸から土砂が流れ込み、崩落が進んだ結果岩場も崩壊。全て沢に転がり落ちました、斜面のいたる所で倒木が。

写真は2015年ですが2018年現在、状況はもっと酷くなっています。

注意点
本来なら右岸遥か上方の作業道を歩いていました

スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

所々で沢が入れ替わります。

スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

先程のガレ場、本来であればこの様な沢から30メートル程上の斜面を歩いていたのでした。この歩いている場所を含めて全てが崩れ落ちています。

スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

フィールドワークに最適な大自然

再度沢に降りて荒廃した石船沢を歩きます、仲間が何か見つけて大興奮してたので近寄るとどうやら猿の頭蓋骨を発見した様でした。

この沢では他にもイタチ・猪の死骸や鹿の糞などが散見できます、また稀に熊棚があるので運が悪ければツキノワグマに遭遇する恐れもあるでしょう。

実は目的地の石舟沢鍾乳洞には「動物の墓場穴」と呼ばれる洞内に深く抉れた場所がありまして、その中には入り込んで登り返し出来なかった様々な動物の骨が残っています。そしてどうやって入り込んだのか()、熊の骨もあるとの事。何度か高照度のライトで照らした事がありましたが見付ける事は出来ませんでした。

注意点
別の洞口(竪穴)から滑落して入り込んだとの話も

スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

歩いているとキツツキのドラミングがアチコチから聞こえます、そして少々標高を稼ぐとこの様に突いた跡を発見できます。穴の大きさからクマゲラの様です、付近にはアカゲラなども生息しているですが見た事はありませんね…。

他には蜂の巣を主な食事の場とするハチクマも見た事があります、本当にスズメバチの巣へ攻撃する様は驚きを隠せません。

スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

見ていてとても綺麗な切り株、これは無計画伐採以前の林業での伐採跡で古い物です。切り跡から無数に延びる苔、先端の赤い部分が特徴的な「コナアカミゴケ」です。

コナアカミゴケ
http://bit.ly/2IImp0O

比較的山では良く見る苔ですがこの切り株には複数種の苔が共生していて目を引きました、そう言えばこの苔には少々面白いエピソードがありまして。

このコナアカミゴケには国内に2種類(コアカミゴケ・コナアカミゴケ)が生息していると考えられていましたが姿形の相違は環境や栄養分に左右される事が判明。後に名称をコアカミゴケに統一されました、色合いも発見する場所によって様々と変化するので見付けると写真を撮ってしまいます。

スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

注意点
ロールオーバーで画像を切り替えて下さい(PC閲覧時のみ)

2013年と2015年、こんなに変わってしまいました。2014年は自然災害が続き、許可が降りる降りない以前に入渓さえ出来ませんでした。

注意点
2014年は完全に立入が制限されていました

スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

注意点
ロールオーバーで画像を切り替えて下さい(PC閲覧時のみ)

同じく2013年と2015年、この場所に至っては崩落が大規模過ぎて原型を留めておらず…地形も大幅に変化していてGPS情報を見るまで同じ場所だと気付かなかった程。この辺りはアプローチルートも全く別のものへ、現在更に崩落が続いています。

スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

注意点
ロールオーバーで画像を切り替えて下さい(PC閲覧時のみ)

同じく2013年と2015年、この石灰岩のスラブは少々場所がズレていますが誤差数十メートルです。景観が同じ時期で大きく異なっている事が解ると思います。

沢が土砂流入で埋没してしまい、完全に水が流れない事で枯葉も堆積しています。

そう言えば2015年にこの石舟沢の大崩落を目にし、ただでさえショックを受けての沢登りでしたが崩落後のこの場所と鍾乳洞の周囲が偶々似通っていた事もあって洞口が埋没したと勘違いした事がありました。その先に進む事でそれが間違いだと判明しましたが正鵠を射ると言う本来山では絶対に必要な状況判断を誤ったのは良い経験です、時として命取りになる自然環境下ではより的確な確認・把握・判断が要求されます。

スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

自然の美しさが極まった石船

非常に美しかった石舟沢の「石船」付近、この白さが眩しくてとても綺麗でした。崩落した後に土砂で覆われて現在では全く別の景観に、樹木も大分崩落しました。

スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

涸沢であってもこの美しい石灰岩のガレ場、こちらも全て埋没して土砂で見る影もありません。振り向けば石舟沢鍾乳洞の洞口です、洞口付近に行くと中から冷気が絶えず噴出していました。

注意点
現在は複数の壁面から同様に冷気が出ています、大規模崩落時に自然開口したものと思われます。その所為か解りませんが洞内の気温が以前より上がった様に感じました。

スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

この沢の命名元となった石船岩、石船の奇岩とも呼ばれ遠巻きに見れば成程…その姿は軍艦の様にも見えます。

またこの石灰岩の白さが大変美しいのですが…もうお解かりの通りその姿を見る事は出来ません、この奇岩を含めた周辺の景観だけでも見る価値が有った程でした。

注意点
ここから更に詰めて狩倉岳を目指すのが登山ルートです

以下に2002年に描かれた遡行図を、現在とは全く地形やルートが異なるので参考程度に。

中津川石舟沢右俣右沢遡行図
http://bit.ly/2RvCyuE


複雑な洞内はビギナーケイバーを容易に飲み込む

それでは入洞準備を行ってから中に入りましょうか。

入洞にあたっては幾つか注意点があります、例えば夏場ならここまでのアプローチで火照った身体をまずは常温まで冷ますなんて事を行います。洞内は年間を通して11~15℃とやや肌寒い気温です、発汗や体温によっては急激な体温変化を起こして低体温症を発症する恐れがあります。特に体脂肪率が低い方は注意が必要です、また水分摂取は十分なのか、バックアップの照明は用意してあるかなども確認事項ですね。

例えば迷路状の洞内で迷ったり怪我をしたり、緊急時にはセルフレスキューの知識が必要になります。同行している仲間内で照明のローテーションを立案(最小限の照明でより長時間光源を確保する為です)、要救助者を安全な場所へ移動出来る体力とロープワーク、そして持参しているクライミングギアの正しい使用知識…ケイビングと言うのは山に関する全てのスキルを要求される特殊登山でも非常に危険な部類です、更なる特殊性を挙げればケイブダイブですが専門のエキスパートとなると国内には数人しか存在しないでしょう。

なので入洞時には改めてパッキングを見直して必要な物と不要な物を選出、そしてどのレベルの人に何を持たせるのか、同行人のスキルの確認などやるべき事は沢山あります。




注意点
登山系の保険に加入するのは当然ですが鍾乳洞内での事故に関して保証する国内の保険企業は存在しないと思われます(完全自己責任)

スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

石船の岸壁下方に口を開けている石舟沢鍾乳洞、ぱっと見左右に1箇所づつ匍匐前進で入れる場所が、まずは左側から入りましたが数メートル進んで更に左に折れて埋没…いえ少しだけ先が通っていますが人の身体が入る余裕はありません。

なので次は右側へ。

こちらは更に下方へ匍匐で進み、そこから今度はV字で上方へ。狭い緩やかな隙間をやはり這う様に登攀するルートが確認できます。此方で間違いないでしょう、登攀箇所ですが思ったよりステップやカチ場が少ないので少々難儀します。

この洞口付近には以前クロサンショウウオが沢山生息していましたが現在では全く見なくなりました、この場所においては崩落後に自然消滅してしまった様です。

先に進む前にこの石舟沢鍾乳洞がどの様な鍾乳洞なのか、それを説明する為にPCCの該当ページをお読み頂きたいと思います。

PCC - 関東の洞穴について
http://bit.ly/2y5e4Qx

スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

上下への匍匐前進を終えると直ぐに写真の様な斜めの薄い隙間を登攀する、左側の斜面を転がり落ちれば洞内河川へ落ちてしまうが思いのほかグリップがシッカリと利くので滑落の心配は無い。

洞内を2010年と2018年で比べると岩盤などの崩落が複数個所、これが2011年の東日本大震災に起因するのかその他の自然災害に因るものなのかは判断出来かねるけれど今後アクセス出来なくなる様な場所での崩落は無かったので一安心。

スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

最初の小ホール、3段構造で立体的な面白い空間だ。一番下まで降りてぐるっと迂回すると更に奥に行く為の細い路地が、更に進むとナメ岩エリアに入ります。

このナメ岩エリア、兎に角滑る。少々危ない岩の割れ目を跨ぐと洞内河川へ降りる事が出来ます、その間々直進するとバーチカルですが凸凹の竪穴に成るので構わず登りましょう。

スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

そして今度は中ホールに出ます、この場所の最大の特徴は眼下に水流の速い洞内河川が流れている点と目の前に大きな洞内滝があると言う点です。

名は「白龍ノ滝」、高低差は8メートル程の段瀑で沢経験者ならフリーで難なく登る事が出来ます。グリップもシッカリ利くので濡れる事を厭わなければ降下も問題ありません、水量によりますがムーブが上手い方は落水を避ける様に降りる事も可能です。



スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

第一陣が登攀開始、2000年代にTVで取り上げれれた事があった所為か幾つか残置ボルトがありました。素人を安全に登らせる為とはいえこんな簡単なムーブも出来ない様ではそもそも鍾乳洞に入る資質もありません、ましてや残置するなどもっての他でしょう。

その後その番組()を拝見する機会に恵まれましたが酷いものでした、この時に出演したアドバイザーの某大学探検サークルの方は今どう思っている事でしょうか…。

注意点
日本テレビ「Dの嵐」2003年07月16日放送内にて

スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

登り切った場所から後続の仲間を撮影、筋トレが趣味だと言う彼は初めての鍾乳洞、初めての洞内滝をするすると登って見せました。

この白龍の滝を越えて地底湖の「清龍ノ泉」までは程近い。

注意点
清龍の泉の写真撮影をすっかり忘れていた為にありません
動物の墓場穴も同様に撮影を忘れていた様です

スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

この後は複雑なムーブを要する箇所が多いですが特に問題なく最奥地まで到達する事が可能です、次回来訪時に洞内の360°写真を撮影して来ようと考えています。

注意点
通常の動画及び360°動画は大量に撮影済みです(内部は直下動画を参照)


スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

行きはよいよい帰りは怖い、現役を退いた隠居の身にはこの崩落した沢を登り返したり下ったりするのは最早苦行と変わりありません。若手はスタスタ歩いて行きますが老体は鞭打っても所詮老体なので休憩を沢山挟みながらの帰路と成ります、歩みの速かったあの頃に戻りたいと心から願う瞬間でもあります。



この石舟沢鍾乳洞を擁する奥秩父にはまだまだ大規模な鍾乳洞が残っています、何れその洞穴に関しても許可が取れ次第レポート対象としてアタックしていこうと考えています。

まずはこの石舟沢鍾乳洞で自然の洞穴がどういった物なのかを知って頂ければ幸いです。

スゴログ ケイビング 石舟沢鍾乳洞

2013年の旧県道210号線、当事はまだ大崩落前なので岩が転がっていません。その岩も何れ撤去されるであろうと思いながら既に5年が経過しました、廃道故にこの間々放置される運命なのかもしれませんね…。

かつての美しかった石舟沢の荒廃、二度と見る事が出来ないあの景観を胸に今回はレポートを終了したいと思います。

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参考・協力

秩父市役所
関東森林管理局
日本洞窟学会
ケイビングジャーナル



レポートの場所



注意点

該当区域は管理されており、無断での進入する事は法律で禁止されています。また登山物件においては事前にルートの選定、充分な予備知識と装備で挑んでおります。熟練者が同行しない突発的な計画に基づく行動は控えて頂く様、宜しくお願い致します。

スゴログの装備とその使用方法など
https://www.sugolog.jp/p/blog-page.html



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